2016.05.25
【海外の翻訳会社と取り引きする際の単価 (見積もり方法) や注意点】
昨日アップした記事にも書きましたが、「普段取り引きしている相手の約半数が海外(欧州、北米)の翻訳会社」です。翻訳者が集う勉強会やオフ会で、こう口にすると、大抵以下の質問が返ってきます。
1. 「海外の取引先って、支払いとか心配じゃありませんか?」
2. 「単価ってどうやって設定していますか?」
3. 「どうやって営業している(or 仕事の問い合わせが来る)んですか?」
というわけで、今日は 2) 「単価ってどうやって設定していますか?」について書いてみます。
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これは至って簡単です。以下のサイトを参考に設定しています。
えーと、ここを見ると、「日本語」の標準単価は「0.13 USD」とあります。
ご参考までに書いておきますと、翻訳料の単価は大抵、
原稿のワード数 × 1ワード当たりの単価
で算出されます。
つまり、400 words の英文を日本語に翻訳する場合、この標準単価で請けると、
「400 words x 0.13 USD = 52.00 USD」
ということになります。
この単価のまま請けても良いでしょうし、原稿の内容や納期、使用ツールなどプロジェクトの条件に応じて、あとはご自身で判断して先方に提示すれば、「はい、完成!」ということになります。
ちなみに私の場合、上記の 0.13 USD を基本に入金時の手数料などを考慮して、英日翻訳で1ワード当たり
「0.15 USD」
に設定しています。
かといって、「この単価が絶対」というわけではなく、引き受ける案件の総ワード数、納期、その他の条件に応じて臨機応変に対応しています。
一時、USドルが75円を割り込んだ時期もありましたが、今は105~110円で推移しており、日本円にすると、
「13.5円~16.5円」
程度になるでしょうか。
*この仕事を始めた頃の国内の翻訳会社のワード単価は、「8円~」でした(今はもう少し低いかも)。
最近は、PayPalでの入金時に手数料がかからない取引先も増えてきたので、助かりますが、通常、PayPalでの入金時には4%強の「手数料」が差し引かれれます。でも、この辺もすべて相手との交渉次第だと思います。
(私は、PayPalの手数料が引かれる場合、折半してくれるように先方に相談するようにしています)
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振り返ってみると、海外の翻訳会社と取り引きを始めたのは開業後、数年が経過した頃でした。その後、売り上げの7~8割が海外の翻訳会社になっていた時期もありますが、最近は半々くらいに落ち着きました。
最後になりますが、海外の翻訳会社の場合、「内税」+「源泉所得税」も考慮する必要がありますよね。国内の取引先の場合は大抵、源泉所得税が差し引かれた上で入金されますが、海外の取引先の場合、源泉所得税は差し引かれませんので。
海外の取引先ばかりになってしまうと、確定申告作業のモチベーション(還付金ゲット!)が低くなっちゃうという意外な(?)デメリットもありますが、それは本人のやり方次第だと思います。
ちなみに、私は翻訳事業を継続していく上で、これまで師事していた先生の教えを今でもとても大切にしています。でも、1つだけ先生の教えに背いていることがあります。それは、当時、初めて海外の翻訳会社と取り引きを開始するにあたって先生に相談したところ、先生は
「私は、海外の取引先は最小限に抑えています」
とのお話でした(先生、ごめんなさい…)。
が、開業10年目を迎えた今、私個人の意見としては、
「国内の翻訳会社」 VS 「海外の翻訳会社」
という意識はまったくありません。取り引きを開始するにあたっては、
★ 「自分が対応できる分野であること」
★ 「自分が納得した単価および条件で仕事を請けられること」
★ 「自分が信頼できる相手(取引先)であること」
の3つを基本条件にしています。
(+きちんと支払ってくれること)
誠実に仕事に取り組んでいるのは、何も日本国内の翻訳会社だけではありませんからね。いや、むしろ海外の翻訳会社の方が、翻訳者を「単なる下請け」としてではなく、「パートナー」として対等に見てくれているケースが多いような気がします。
では、何故、師事する先生のアドバイスにも従わず、「海外の取引先って、支払いとか心配じゃありませんか?」というよくある声にも反して、「海外の取引先がメインになっていったのか?」については、また改めて書こうと思います。