2017.03.10

【翻訳をする上で専門知識は必須か?】

記念すべき100本目の記事です。今日はこれから出掛ける予定があるのですが、直前に流れてきた記事に触発されてばばっと書いちゃいます。

元ネタはこちらです。
(「技術者から翻訳者へのシルクロード」)

トライアルに負け続けた日々(力のいれどころがわからなかった)】 

翻訳者の間では、「あきーらさん」と言えばご存知の方も多いのではないでしょうか?私も駆け出しの頃は、ブログを拝見した記憶があります(残念ながら、まだお会いしたことはありません)。

この記事は初めて読んだのですが、「なるほどなー」と思いました。ここまで、かつての自分のことを赤裸々に書くのは抵抗があったかもしれませんが、とても参考になるのではないでしょうか。

そして私がずっと師事していた佐藤洋一先生のある言葉を思い出しました。先生は、講義と並行して、受講生からの質問や相談にもいつも親身になって耳を傾けて、的確なアドバイスをしてくださいました。

あるとき、受講生の一人から「専門知識がないと、翻訳はできませんか?」というような趣旨の質問がありました。翻訳者を志す人なら、誰でも一度や二度は考えたことがあると思います。

それに対して先生は、「そうですね、専門知識があると、確かに役に立つことが多いでしょう。でも、専門知識がないから、翻訳ができないかというと、決してそういうわけではありません。むしろ、専門知識があると、その知識が邪魔をして本来の意味をくみ取ろうとする前に、自分の過去の経験に照らして解釈してしまうことがあります。文書によっては、むしろ知識がない方が、謙虚に取り組めることもあるのではないでしょうか」とのお話に加え、

「フリーでやっていくためには、専門知識を生かしてやっていくやり方もあります。一方で、様々な分野に対応することが求められますので、その都度、今現在あなたが持っている知識を活用して、読み解いていけばよいのではないでしょうか?」

とのお返事だったと記憶しております。昨日も書きましたが、専門知識というものを持たない私にとってこの先生の言葉にはとても励まされました。「一生が勉強である」と常々口にされている先生のこと、きっと受講生を励ます意味合いも含めてのお話だったと思います。

以来、私は「学歴もない」、「専門知識もない」、「コネもない」と嘆くよりも、今あるものをどう生かし、仕事上必要なものはどのようにして習得していくかに意識を向けるようにしています。

2006年の開業に先立ち、2005年から昨年まで先生の通信講座を受講しましたが、今でもこうしてこの仕事を続けていられるのは、先生のこの一言がきっかけだったかもしれません。

フトそんなことを思い出しました。