2016.11.02

【受注する案件の特性を(受注前に)見抜く力を養う】

何やら、堅苦しいタイトルになりましたが、要はそういうことです。日々、国内外の取引先からあれこれと仕事の打診があり、その分野は多岐に渡ります。

私の場合、打診をいただいた時点で以下の順で確認します。

1)納期
2)翻訳対象ファイル (原文を見ないで引き受けることはありません) 
3)使用ツールの有無
4)参考用資料の有無
5)支払日

(「単価」は、1)以前にあります、念の為)
自分の「得意分野」や「守備範囲」は、登録している翻訳会社などに既に伝えてありますので、まったく歯が立たないとか、まるっきし専門分野外の案件が来ることは稀です。

とはいえ、取り引きしている翻訳会社経由で来る案件には、同じものは2つとありません。えっ、そんなの当たり前だって?

いや、ここで言おうとしているのは、翻訳原稿そのものではなくて、それぞれの案件で翻訳対象となる原稿の「特性」の話です。

さっくり言うと、翻訳案件の構成要素は以下のような感じではないでしょう?

A: 翻訳の品質
B: 予算
C: 納期
D: 専門知識
E: 作業指示準拠
F: その他

分かりやすく円グラフにすると、こんな感じ(パーセンテージはデタラメに入力しています)。

 

blog_1102
案件に応じて、この要素のパーセンテージは増減しますが、これらの要素すべてを含めて「1つの案件」として誕生し、翻訳者に依頼が舞い込みます。

翻訳者がエンドクライアント(発注者)と直接やり取りする場合を除き、お客さんの要望を聞き、適任と思われる翻訳者を選定し、作業指示等をきちんと伝えるのは翻訳会社のスタッフさん(コーディネータさん、PMさん)の役目です。
翻訳者として「翻訳の質」にこだわるのは当然のことでしょう。でも、先に述べたように求められるプライオリティは、案件ごとに大きく異なります。

どういうことかと言うと、

「とにかく品質重視、スタイルガイド厳守」
「とにかく予算重視で、納期は急がない」
「とにかく納期重視、特急料金も払う」
「手が空いてるときに作業してくれれば構わないが、一度打ち合わせに来て欲しい」 

といった具合です。

翻訳者としては、打診をいただいた段階で、コーディさんやPMさんの文面や様子からこうした特性を見抜く必要があります。

何故なら、ここで受注する案件の特性をきちんと見抜かない限り、発注者の期待に沿った商品(翻訳)を届けることはできないからです。

想像してみてください。
「納期優先」の案件で、品質を優先し、納期に間に合わなかったら・・・・。

こうした経験から、仕事の打診が舞い込んだ時には、先方の話を聞くだけでなくて、こちらからも出来る限り情報を引き出すように心掛けています。例えば、「誰が(読者)」「何のために(理由)」「どこで(場所)」この翻訳を使用しようとしているのかが分かると、案件にも親しみが湧いてきてやる気も ↑ します。