2016.10.12

【トライアルに受かって仕事が来なかったときの話とトライアルに落ちて仕事が来たときの話】

前回の記事、【トライアルに受かったらすぐに仕事が来るの?~初めてトライアルに挑戦!】で書きましたが、トライアルを受けてから合格通知を受け取るまでに、数か月。さらに最初の案件を正式に受注するまでに数年を要しました。

でも、これには理由があります。当時は東京のゲーム会社でフルタイムで勤務していました。加えて、その傍ら、燃焼炉製造・販売メーカーから既にお仕事(日→英)を不定期でいただいておりました。

つまり、私の方の準備が完全には整っていなかったため、これだけ時間がかかってしまったわけです。実際には登録後、何度か打診をいただいたと思いますが、二足のわらじということもあり、お断りせざるを得ず、正式受注は開業してからでした。

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あれから早10年。数多くのトライアルに応募しました。結果に一喜一憂していた時期もありましたが、今では割と淡々と結果を受け入れるようになりました。もちろん、合格すれば嬉しいですし、不合格になれば落ち込むこともありますよ、今でも。でも、どちらにしても必要以上にその結果には引きずられないように心掛けています。

何故なら、

A:「トライアルに受かっても仕事が来ない」

ケースもあれば、

B:「トライアルに落ちても仕事が来る」

ケースもあるからです。

前者はご経験されたことがある翻訳者さんも多いのではないでしょうか。その理由は簡単です。何故なら、トライアルは大きく分けて以下の二種類に分別されるからです。

A-1.通年採用型。つまり、年中募集中。自社の翻訳者の登録者数を増やすことを主眼としています。これは、会社として大型案件に対応できるように、様々な分野に対応できるようにするためものと言えます。

A-2.実際の案件型。こちらは不定期募集。つまり、実際に受注が見込まれる案件で、その分野に精通している翻訳者がいない(または不足している)ために、新しい人材をいち早く確保したい場合などです。

A-2の場合は、合格するとすぐにお取り引き開始となるケースが多く、A-1の場合はケースバイケースでしょうか。とはいえ、登録のタイミングに左右される場合もあり(同時期に似たような分野を取り扱う翻訳者さんが複数登録していたり)、意外とすぐに仕事が来たり、一概には何とも言えませんね。あくまでもご参考までにと言うことで。 ちなみに、仕事の打診が来ない理由としては、

「対応分野に見合う案件が発生していない」、「合格したけど、ギリギリ合格ライン(つまり補欠扱い)、「単価的に折り合わない」などが考えられます。
で、翻訳者なら興味を持たれるのが(笑)、Bのケース。これ、国内でも海外でも何度か経験していますが、トライアルを受けて
「残念ですが・・・(今回は不合格または採用を見送らせていただきます)」
という通知を受け取ったにも関わらず、その後、お仕事をいただき、良好な取引関係を築くことになった取引先が何社かあります。
以来、トライアルというのはあくまでも「お見合い」の場のようなものに過ぎないと考えるようになりました。実際、相手も自分もヒトですから、「相性」というものが確実に存在します。

翻訳会社などに応募する際には、相手がこちらを品定めするように、こちらも相手の対応を伺い冷静に判断する(つまり自分に合う、合わない)必要があると言えます(もちろん、相性だけでは取引は成立しませんが)。 

*応募する時点で、標準単価を先方に確認することをお勧めします。
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駆け出しの頃は「トライアルって苦手…」という意識がありました。でも、トライアルという場は、翻訳会社にとっても翻訳者にとっても真剣勝負の場です。

中には、課題文に意地悪な内容やひっかけ問題が盛り込まれている場合もありますが(この場合の「意地悪」とは、いわゆる辞書には載っていない、インターネットで検索してもヒットしないものを指します)、やはりそこを突破しないと道は拓けてきません。

課題文では、翻訳学校などで勉強した知識を十分に活かすことが出来ずにヤキモキしたこともあったかもしれませんが、実際の案件では、翻訳学校の教材となるような完成された原文ばかりではありません。

日本の技術者が書いたカタカナや社内用語がオンパレードの和文。英語が第二言語の方が書いた動詞のない英文。その他諸々,,,。翻訳業を営んで行く上で、こうした案件にも対処していく必要があります。
試練を乗り越えた先には、きっと自分の理想のお相手が待っているハズ。でも、不合格または相性(単価)が合わないなどの場合には、またチャレンジすれば済むだけの話です。というわけで、「トライアル、恐れるに足らず」ですね。

ちなみにこれまでの最短発注は、トライアル合格通知と共にお仕事を受注。最長で数年ですね。登録後、音沙汰なしも何社かあります。

【補足】
トライアルに落ちても仕事が来た会社の場合、課題文を提出する前の時点でプロフィール(職務経歴)等を提出していました。

次回は、「国内と海外の翻訳会社のトライアルの違い」について書いてみたいと思います。