2016.09.02

【祝!独立記念日(挑戦することを忘れたフリーランスの行く末)】

1. 節目の日に目にした言葉。

「専門外なので翻訳できないというのであれば、翻訳できる分野は限られてしまいます。当然、収入も限定されます。」

「弊社の翻訳者の多くが、専門外でも果敢にチャレンジして分野を問わず翻訳できるようになっています。」
 

2.  節目の日に依頼された案件。

「これまでお願いしていたこちらの案件では、Trados Studio で作業していただいておりましたが、今後は Memsource というCAT ツールに移行することになりました」

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前者は、3年ほど前に同業者の方からご紹介いただいたのが縁で、以来お取り引きさせていただいている翻訳会社の代表を務める方の言葉(転載の許可をいただきました)。これは、私が、「専門(得意)分野以外の案件はお引き受けするのが難しいかもしれません」と書いたメールに対する返信としていただいた言葉です。
 

私事ですが、昨日9月1日はフリーの翻訳者として第一歩を歩み出した記念すべき日です。2006年の9月1日に税務署に開業届を出しました。その日からちょうど10年が経ちました。山あり谷ありながら、気が付けば10年です。

でも、この10年の間に随分、「守り」に入ってしまっていたようです。先の言葉を借りると、「果敢にチャレンジする気持ち」が薄らいでいたことに気が付きました。
そして、後者は1年ほど前にこれまた同業者の方からご紹介いただいたのが縁で、以来お取り引きさせていただいている翻訳会社のご担当者さんの言葉(転載の許可をいただきました)。得意な分野の案件ですが「使用ツールを変更します」、とのことでした。

この場合、選択肢は2つ。「新しいツールを使うのがイヤだから、今後はその案件を受注しない」。もう1つは、「そのツールを使ってみる」でした。

ちなみにそのツールは、「Memsource」というもので、

「自己負担で購入する必要はない」
「操作方法等、分からなければいつでもサポートする」

とのことでした。

きっと以前であれば、「よし!まだあまり知られていないツールを使えるようになれば、きっと打診も増えるに違いない!」と思ったはずです。

が、今回引き受けるにあたっては少し躊躇しました。何故なら、

「これまで様々なCATツールを使ってきたのに、また新しいツール?なんだか面倒くさそうだな」

と思ったからです。

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同業者の中には、ある特定の分野に特化して、専門知識を深め、それを武器(売り)にしていらっしゃる方もおります。
 
「CATツール指定案件は請けない」というポリシーも理解できます(負の要素も少なくありませんからね)。

でも、他人様は他人様です。

私の場合、大した専門知識もバックグラウンドも学歴(→この世界ではあまり必要とされませんが…)もありません。では、そんな私がこれまでどうしてやってこれたのか、そしてこれから先どうしてやっていったらいいのか?

その答えは、自分が発注者側の立場に立てば少しは見えてくるかもしれません。ここで、自分の良い点を書くのは少しこしょばい感じもしますが、敢えて書くなら、「柔軟性」と「誠実さ」、そして「果敢にチャレンジする積極性」ではないかと思います。

そんな私が「挑戦することを忘れた」場合、その先はありません。そんなことをフト思い浮かべた一日でした。何しろ、この業界(イヤ、どの業界もそうかもしれませんが)、指定ツールや納品方法が変更されたり、請求方法が変わったり、スタイルガイドが変わったり、担当者さんが変わったり、取引先が変わったり…。そんなことは日常茶飯事ですから。
 
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昨日は自分でケーキを買って帰り、家族でささやかにお祝いしました。下の子に「きょうは、おとうさんのおしごとの10さいのおたんじょうびだよ」と伝えましたが、ケーキを前にした3歳児にとっては、そんな話はどうでもよく、満面の笑みでケーキを頬張っていました。