2016.05.18

【「翻訳者、海を渡る」の巻(4)|ボールが止まって見える?】

というわけで、8泊9日に及ぶ初めての海外出張は無事に終わりました。通訳専業の方であれば、お客様と別れたその瞬間から、次の仕事に切り替えて
また別のお客様とのお取り引きが始まるのでしょう。
が、私にとってはここからが再スタートです。

今回の渡米を通じて得た知識、見たもの、聞いたものすべてが今後の仕事に生きてくると信じています。
現に帰国後、以前訳したドキュメントを見る機会がありました。
す、すると、どうでしょう。

「ボールが止まって見えた」

とは某野球選手の名言ですが、
私の場合、

「作業風景が目に浮かぶ!」

と思わず心の中で叫んでしまいました。

普段、専門用語や業界独自の言い回しなどを目にすると、思わずたじろいでしまい、慌ててインターネットで調査したり、専門の辞書をいくつも調べたりするのが
常套手段ですが、やはり「見ると聞く」(いや正確には「見て触って、分からなければ質問する」という行動を繰り返してきましたが・・・)、では大違いです。
今では、ドキュメント内に登場する1つひとつの資材が映像として頭に浮かび、実際に手にしたときの質感を感じられるようになり、
さらには作業指示文書などで用いられている動詞を目にすると、その動作が連動して頭に浮かんできます。

これこそが今回の旅の収穫であったと思います。

「翻訳者、海を渡る」の話はこれで終わりです。でも、このプロジェクトはようやくスタートラインに立ったところと言えます。今後はまた本来の翻訳者という立場で、このプロジェクトに貢献していけるように全力を注いでいきたいと思います。

最後に1つ。

「では、今後も通訳者として仕事を引き受けていくつもりですか?」と聞かれたら、「いや、(このプロジェクトを除いては)翻訳者としてやっていきます」と答えるつもりです・・・。でも、「来日アーチストに帯同の依頼」とかの話が舞い込んで来たら、懲りずに嬉々として引き受けちゃうだろうなぁ。

完