2016.05.14
【「翻訳者、海を渡る」の巻(2)|(自分には)出来ないという思い込みを捨てる】
前回は、「1)翻訳者の私が何故、海を渡る機会を得たのか 」について書きましたが、今回は、「2)渡米前と渡米中の出来事(前篇)」についてゆるゆると書いてみます。
でも、その前に。
「翻訳者って通訳も出来るの?」
とか
「あー、翻訳者と通訳者って同じ仕事なんだね!」
と思われる方も少なからずいるかと思いますので一言。
もちろん、両方の業務を器用にこなしている方も中にはいらっしゃいます。
が、個人的な意見を言わせていただくと、この2つはまったく異なる仕事だと思っています。
仕事仲間であり、大先輩である「はなさん」が以下のような記事を書かれておりますので、よろしければご覧ください。
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カナダから帰国した当初こそ、某写真メーカーで「通訳兼翻訳者」として社内に常駐しておりましたが、その後は徐々に翻訳業務にシフトし、開業した時点では「通訳業」は一切考えていませんでした。
現に、この10年間で通訳の仕事は(今回のお仕事を除いて)一度も引き受けておりません。
というわけで、今回の業務を引き受ける際にも、かなり抵抗がありました。というより、「自分には出来ない」と思っていました。
実は、このお客様から通訳の打診をいただいた際、最初は丁重にお断りしました。
が、3月にアメリカから取引先の方、二名が来日することになり、2日間限定で通訳業務を引き受けたのでした。幸いなことに、このプロジェクトには二年ほど前から専属で携わっていることから、製品や工法に関する知識は蓄積されてきており、「えいやっ!」と自分で自分の背中を押してみたのでした。
二日間に渡るミーティングやデモンストレーションを通じて、国内のお客様と海外の取引先の両者から求められている役割が、はっきりと見えてきました。
「これならいけそうだ!」と個人的にも手ごたえを感じていました。そして、ミーティングやデモンストレーションを通じて、私自身がこの工法にとても興味を持ち始めていました。
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過去を振り返ってみると、「自分には出来る!」と思い込んで引き受けた翻訳案件で何度か失敗したことがあります。フリーランスの失敗とはお客さんを無くす(つまり収入源が断たれる)ことを意味します。
こうした痛い経験から、専門分野以外(自分には出来ないこと)に手を出すことがどれくらい危険なことかを学びました。
ですので、
「なんでもかんでも無理だと思う前にやってみるべし!」
なんてことは口が裂けても言えません(その上、二人のちびっこを養う責任がある私はそんな無茶がきく立場でもありません)。
でも、必要とされている役割をきちんと把握し、ある程度の準備が整っており、そして何より
自分自身が熱意を持って取り組める仕事であると判断した場合には、
「自分には出来ない・・・」
と思い込む前に、今回のように「えいやっ!」と一歩足を踏み出してみるのもありだと思います。
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4月のある日。
国内のお客様から、渡米の打診を受けたとき、既に私の返事は決まっていました。
(続く)